「ハラールと畜」とは、「ビスミッラーヒ、ワ、アッラーフアクバル (アッラーの御名において、アッラーは最も偉大です)」 と唱えながら「と畜」することです。この「と畜方法」は、喉を切る際に脊髄を切断することなく、気管、食道、左右の頸動脈をすべて同時に切断するものです。一部のウェブサイト上の情報には、スタニングを行うことが認められていないかのような誤解を与える情報が見受けられますが、スタニングについては国や認証団体などによって決まりに差があります。預言者ムハンマドの時代には、動物をと畜する際にスタニングを行うことな どなかったこともあり、スタニングを行う方が逆に動物を苦しめるとか、血液 の放出能力が落ちるので良くないとする見解もあり、伝統を重んじる一部の保 守的なイスラム学者たちはスタニングを伴うと畜を認めていません。しかしその 一方で、近年では、当初スタニングを禁止していたムスリム多数派諸国がスタ ニングを許容するよう基準を変化させてきた現状もあります。インドネシアでは1976年からスタニングが受け入れられています。マレーシ アの基準でも少なくとも2009年から、SMIICの基準でも2011年からそれぞれ 大型動物へのスタニングの使用が許可され、現在では、UAE、サウジアラビ ア、GSOの基準なども大型動物に対するスタニングの使用が許可されています。ちなみにインドネシアでは2009年に、「スタニングは動物を一時的に気絶させるだけで、 死亡や永久的な傷害を引き起こすことがないこと」、「動物を苦しめるためでは ないこと」ことなどを条件にスタニングの使用を認めるファトワーがMUIから出されましたが、このファトワーは、と畜人の安全を確保するために 必要な場合にはスタニングを認めるという立場であって、スタニングを行うこ とを奨励する内容ではありません。しかし、インドネシアのと畜について詳しい専門 家の情報によれば、現在同国の大都市の近代的なと畜場では、輸入された大型 の牛をと畜することが多く、スタニングなしで扱うことが困難であるため、すべての牛にスタニングを使用しているとのことです。