食器の使い分けについては、ハラール認証団体によって判断が異なります。以下のような幾つかの対応が見られます。(1) 豚肉メニューの有無にかかわらず、非ハラールの肉を使うメニューがあれば食器を使い分ける(2) 豚肉メニューがある場合には食器を使い分けて、豚肉メニューがなければ食器は共通で構わないとする(3) 豚肉メニューがあっても共通の食器を使用する 現在日本国内のハラール認証団体のうち、シャフィーイー派の影響を受けた東南アジアの認証団体と相互認証のある団体は、食器の使い分けを義務付けています。シャフィーイー派が主流である東南アジア諸国(インドネシア、マレーシア、シンガポール、ブルネイ)の現在のハラール基準では、豚メニューに使用された食器はハラールメニューに使用できないとされていますが、マレーシアやインドネシアの以前のハラール基準では、同じ店舗内で豚肉を扱っていても調理器具や食器を共有することが認められていました。一方、ハナフィー派が主流である南アジアから中東、エジプト、トルコなど、そしてマーリキー派が主流である北アフリカ、西アフリカの地域では、豚に対してシャフィーイー派のような嫌悪感を持たないため、そうした地域出身のマスジドのイマームなどは、豚を扱うレストランであっても食器を共通にすることを必ずしも禁止していません。