残念ながら、ハラール対応では、飲料用アルコールであるお酒を使用することはできません。お酒には、臭みを消したり、肉を柔らかくしたりするなど、いろいろな効果があって、お酒が使えないことが和食のハラール対応を難しくしています。ただし、調理酒の場合には、飲用を目的に作られていないから許容できると考えるムスリムもいます。ちなみにある日本酒メーカーに確認したところ、日本酒は飲料目的か調理目的か限定することなく製造しているということだったので、そうした製品については、飲料用アルコールとして製造されていないので、本来であればハラールと考えることも可能でしょう。しかし、「酒」=酩酊させる飲料、としてのイメージが強いこともあって、ハラール認証機関の基準でハラールと認めてもらう事は、なかなか難しいようです。ちなみに飲酒の禁止に関する啓示は段階的に下されたという事情もあり、最初の啓示が、お酒を飲んでいる時には礼拝をするな、とする内容であったということを根拠に、酩酊さえしなければお酒を飲んでも構わないと考えるムスリムもいます。そういうムスリムを対象にするのであれば、料理にお酒を使用すること自体、全く問題にはなりません。また日本で生活しているムスリムや訪日旅行客は、よほど神経質な人でない限り、自ら積極的に「お酒を使用していますか」と質問することはありません。他に選択肢がない場合にはクルアーンでも例外が認められる「緊急事態」になりますし、知らずに食べた場合には罪にならないという教えもあるからです。質問されもしないのに、事細かに情報提供することが常に相手に歓迎されるとも限りません。